基礎から応用へ
統計学的思考・1
土肥 一郎
1
1中央鉄道病院内科
pp.33-34
発行日 1975年4月1日
Published Date 1975/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543200754
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数字で表現される定量的判断,明暗とか色彩あるいは快,不快とかのような定性的判断など,物の状態の捕らえ方にはいろいろあるが,これらの観察は必ず,それに基づいた差別の判定を目的としたものである.しかも観察にはその精密さに応じたレベルの誤差がつきものであり,これを考慮に入れて物を考えるくせをつけていないと,両極端の誤りを犯す.一つは,誤差につきまとわれる測定なら信用できないからやめようという考え,もう一つは磨きぬいた技術で測ったものは,実用上問題になるほどの誤りを含まないから,統計処理など必要とせず絶対の真理を与えるのだという考えである.観測の対象の性質および観測技術の精密さに応じて誤差の程度はいろいろであるが,誤差と比較してどの程度のひらきがあるかという考え方をすれば,以上のような敗北主義,または独善という2通りの誤まりを避けることができる.これから10回にわたり,表題のもとになるべく具体例について統計処理技術を適用しながら紹介を試みることにする.
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