基礎から応用へ
シッフ反応とPAS染色
坂岸 良克
1
1埼玉医大生化学
pp.28-31
発行日 1974年10月1日
Published Date 1974/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543200586
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電気泳動法は今ではどこの検査室でも手軽に行える分析法となった.ことにセルロースアセテート膜を支持体とするようになってから分離能も作業能率も一段と向上した.
ところで,この方法が他のどの分析法よりわずかの検体量でしかも多くの病態情報を提供することについて,一般の人はそのありがたみを無視しがちではなかろうか.わずか1〜5μlの血清を塗布し,40〜50分の泳動時間でアルブミン,α1,α2,βおよびγ-グロブリンが分離されるが,これをポンソー3Rで染めれば通常のタンパク分画が,クロモジェニックな基質とインキュベートすれば種々のアイソザイム分画が検出される.さらにシッフ試薬を使えば糖タンパク分画が検定出量され肝炎,胃炎などの病態解析に役だつし,オゾン化してからシッフ試薬で検出すればリポタンパク分画が定量でき,脂質代謝の程度をうかがい知ることができる.ここではセルロースアセテート膜による糖タンパク,リポタンパク分画の検出に広く利用されているPAS染色と,その原理であるシッフ(Schiff)反応について述べてみよう.
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