技術解説
オゾン化シッフ染色法によるリポタンパク分画法
河合 忠
1
,
桜林 郁之介
1
,
蓮沼 進
1
1日大臨床病理
pp.662-671
発行日 1971年7月15日
Published Date 1971/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542907248
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はじめに
近年,脂質代謝の研究が盛んに行なわれるようになったが,血清脂質の測定に関しては,直接血清から脂質と分離して定量する方法と,血清中でタンパクと結合した,いわゆるリポタンパクとして測定する方法と大きく2つに分けられる.いずれの場合にもそれぞれ特徴があり,両者を併用して行なうのが望ましい1.従来,リポタンパクの分析には超遠心分析法が用いられてきたが,近年,電気泳動法によるリポタンパク分画が簡便なため日常臨床検査として使われはじめている.今回はこの電気泳動法によるリポタンパク分画法のうちでも,セルロース・アセテート膜を用いたオゾン化シッフ染色法について詳述することにした.
電気泳動法によるリポタンパク分画は1950年ごろから試みられてきたが,Lees2らが改良濾紙電気泳動法を開発して以来にわかに注目されるようになった.しかもこの方法を用いて,Frederickson3・4らが本態性高脂血症およびその類似疾患の多数例について適切な分類を行なうに至り,その重要性はさらに高まった.しかし,アルブミン加緩衝液中での濾紙電気泳動法は,泳動時間が長すぎ,検体の塗布の困難さ,再現性が悪いこと,βおよびpre-β分画の分離が困難なこと,染色溶媒にエタノールを用いているために血清脂質が溶媒中に溶出してくるおそれがあることなど,いくつかの問題点が指摘されている5.
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