実習日誌
技師への道の1ページ
大町 早苗
1,2
1九州医学技術専門学校
2大村国立病院
pp.32
発行日 1974年10月1日
Published Date 1974/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543200587
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今年の春休み,病院実習はどこになるのだろう,何をどうやって勉強しようかと思った.考えても考えどおりいかないとわかっていても,頭の中は実習のことが大半を占めていたのを覚えている.そうしているうちに,4月となった.1つの病院で充実して実習ができるようにと,大村国立病院にした.ここは寮生活で,時間にとらわれずに実習に打ち込めると思った.その反面,16週間でマスターできるかと不安に陥った.それも束の間,実習の前日は"日常検査とは,検査法の決定の仕方は……そしてできるだけ多くのことをマスターしよう"と考え決意した.
当日,何となく身の引きしまるのを覚えた.それにいつもの自分でないみたい.始めに院長室,検査室で紹介があった.新たな希望と"やるぞ"という気持をひしひしと感じながら歩いたことを記憶している.私は一般検査からローテーションが始まったのである.以前,一般検査,血液検査は長崎市民病院で実習していたので,一応のことは知っていた.けれどもやはり緊張したのは確かだった.そして再びここで感じた,理屈でなく頭でなく,長年の経験が物を言う世界だと.この瞬間,"最初の考えはまちがいだ"と知った.最初の考えは自尊心だけしか満足していないのだ.欲ばってはだめだ.
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