最近の検査技術
酵素抗体法
星野 宗光
1
,
赤塚 弘道
2
,
島田 畯介
1,3
1愛知県がんセンター研究所超微形態学部
2愛知県がんセンター研究所病院臨床検査部
3順大内科
pp.33-39
発行日 1974年8月1日
Published Date 1974/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543200532
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組織や細胞の中に存在する特定の物質の局在を,形態学的に同定する方法として種々の特殊染色があるが,これらは一括して組織化学,あるいは酵素反応を利用して酵素の局在を知る方法は,酵素組織化学と呼ばれている.1950年に,CoonsとKaplan1)が報告した螢光抗体法は,抗原抗体反応を利用した広い意味での組織化学であるが,上述の組織化学と比して,はるかに高い特異性と普遍的な応用性があるために,広範な分野で使用されるに至っている.
この原理は,あらかじめ抗体に螢光物質を標識しておいて,組織切片中の抗原と反応させ,その反応場所-抗原の局在場所を,螢光物質の存在によって知るということである.この基本的な方法論は,その後,標識物質を鉄を含んだ高分子タンパクであるフェリチンに変えることによって,電子顕微鏡レベルにおいても応用が可能となった2,3).ここで紹介する酵素抗体法は,原理はCoonsらの螢光抗体法と同じであるが,標識物質としてhorseradish peroxidase(西洋ワサビのペルオキシダーゼ,以下HPOと略記する)を用い,抗原抗体反応後,その局在をペルオキシダーゼ反応によって知るという方法である.
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