特集 免疫組織・細胞化学検査
基礎と技術
6.染色法
1)酵素抗体法
米澤 傑
1
,
有村 佳子
1
Suguru YONEZAWA
1
,
Yoshiko ARIMURA
1
1鹿児島大学医学部第2病理学教室
pp.30-34
発行日 1995年10月30日
Published Date 1995/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542902656
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酵素抗体法は,優れた抗体や染色キットが数多く市販されている今日,蛍光顕微鏡のような特殊な機器も必要なく,通常の組織染色が可能な施設であればごく限られたスペースで施行できる.さらに,染色切片を形態観察と照らし合わせながら,じっくり時間をかけて観察することが可能であり,また,長期間保存しておくことも可能なので,振り返って何度でも鏡検できる利点がある.本法に関しては,すでに優れた吾書があり1,2),すべてのことはそれらの中で詳しく述べられているので是非参照していただきたい.
本稿では,日常の臨床検査の実際の場面で最も対象となるホルマリン固定パラフィン切片における光顕レベルの酵素抗体法について述べる.酵素抗体法には西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)などの酵素を標識にした特異抗体を直接組織切片と反応させる"直接法",非標識の特異抗体(1次抗体)をまず組織切片と反応させ,1次抗体に対する特異抗体(2次抗体)にHRPを標識したものを反応させる"間接法",アビジンとビオチンとの特異的かつ強固な結合を利用した"ABC (アビジン・ビオチン化ワサビペルオキシダーゼ複合体)法"などの方法がある.それらの原理は前述の成書1)や染色キットのパンフレットに詳しいきれいな図解が出ているので是非ご覧いただきたい.
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