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特集 細胞生物学実験マニュアル
基本技術
酵素抗体法
Enzyme labelled antibody method
中根 一穂
1
Kazuo Nakane
1
1東海大学医学部細胞生物学教室
pp.415-417
発行日 1986年8月15日
Published Date 1986/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425904918
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ある抗原はある抗体と特異的に結合反応する。この反応を細胞内あるいは組織内で施行して,抗原—抗体反応箇所を知ることにより抗原および抗体の局在箇所を明確にするのが免疫組織化学である。
蛋白質,糖,脂質の合体である細胞内や組織内の抗原と蛋白質である抗体が,抗原—抗体反応物を形成しても,反応箇所を検出するのは困難である。そのため,通常,後に検出可能な物質をあらかじめ抗体に標識しておく。標識として従来,利用されてきている物質としては,放射性同位元素,色素,重金属,小粒子,螢光物質,酵素などがある。放射性同位元素を標識として使用した場合には,後にオートラジオグラフにより抗原—抗体反応物形成箇所を検出して抗原の局在箇所を明確化する。色素,重金属や小粒子で標識した抗体を使用した時には,そのまま反応箇所を検出するか,二次的にシグナルを化学的に増幅した後に検出する。螢光物質を利用した場合には螢光顕微鏡により標本を観察することにより反応箇所を検出する。酵素を標識物質として使用した場合には,この酵素を酵素組織化学的方法により局在の証明をして,抗原—抗体反応箇所を検出する。このような標識抗体を利用して免疫組織化学的方法を施行するには,液体内やゲル内で免疫複合体を形成させるのとは異なった条件を考慮する必要がある。まず細胞や組織は,形態を保存するために,免疫組織化学的方法を施行する以前に固定する必要がある。
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