臨床検査技師のための 化学
化学反応・11 酵素反応(2)
吉田 光孝
1
1東邦大理学部
pp.28-31
発行日 1974年2月1日
Published Date 1974/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543200366
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酵素測定法の基礎
生体内では無数の酵素反応による物質代謝の流れが生命現象を維持している.この物質代謝の流れの調節は主として酵素作用の適切な変化によってなされている.これは主として,(1)酵素分子活性の可逆的な変動と,(2)酵素生成の増減調節によるもの,そして,(3)同一反応を触媒するが異なった調節機能をもつアイソエンザイムによる酵素作用が知られている.
血清中には健常者でも多くの酵素の存在が知られており,(1)血漿に特異的に存在する酵素,(2)生理的に絶えず分泌されて存在する酵素,(3)種々の組織から由来すると考えられる酵素,などがある.しかしこの起源や出現機構,寿命そして消失機構などもまだ十分にわかっていない.つまり血清酵素のレベルは,(1)酵素の組織から血清への分泌または漏出,(2)血清中での酵素の安定性(寿命),(3)血清から外への排出,などの因子による動的平衡の結果として現われるものと考えられている.
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