臨床検査技師のための 化学
化学反応・12 酵素反応(3)
吉田 光孝
1
1東邦大理学部
pp.28-31
発行日 1974年3月1日
Published Date 1974/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543200392
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酵素反応による分析
酵素以外の物質の定量のために,測定試薬として酵素を利用する方法,すなわち酵素的定量法が臨床検査室でもしだいに増加しつつある.酵素的定量法の最大の特徴は,目的とする物質を特異的に,すなわち正確に測定でき,しかも酵素反応を利用するので温和な条件で諸反応が容易に進行するすぐれた長所がある.最近は紫外部を容易に測定できる光電光度計が普及してきたので一定の測定条件を守れば比較的簡単に測定できるようになった.しかしその反面,酵素試薬の純度,不安定さ,あるいは高価さのためにまだ普及が遅れていることも事実である.しかししだいに純度の高い酵素も比較的手にはいるようになってきたし,また後に述べる固定化酵素のように安定化するくふうも行なわれている進歩もあり,高価な試薬も方法の微量化,普及化によって解決できるのではないかと期待されている.
酵素的定量法とは,酵素反応によって目的物質を定量する分析法である.この場合,その測定物質が,酵素に特異的な基質であることが普通であるが,ときにはその酵素の助酵素などであることもある.測定の原理は,(1)総変量測定法,と(2)初速度測定法に大別することができる.
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