技術講座 病理
検体の取り扱いと固定
鬼頭 花枝
1
1愛知県がんセンター研究所病理
pp.66-67
発行日 1973年4月1日
Published Date 1973/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543200126
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1.病理組織検査とその意義
人体および実験動物の諸臓器の一部を,光学顕微鏡用の病理組織標本として作製したのち,病理学者はそれぞれの細胞および組織の変化を形態学的に観察し,病変を正確に組織診断することができる.これによって臨床医は,しばしば今後の治療方針を決定する.したがって病理組織検査で最もたいせつな点は,よい標本を迅速に,しかもまちがいなく作製することである.人為的に細胞または組織の形態を変えるような操作をすれば,誤診の原因になり治療方法も変わってくる.特に手術中の凍結切片の作製には,この作製いかんによって手術方式も変わり,最悪の場合には四肢の切断術のような大きな手術ともなるため,十分注意すべきである.このように病理組織検査も他の諸検査と同様,密接に患者の診断に関与し,その使命と責任は重大である.
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