臨床検査技師のための 化学
化学反応・1
吉田 光孝
1
1東邦大理学部
pp.28-31
発行日 1973年4月1日
Published Date 1973/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543200113
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化学反応はどのようにして起こるか
1.化学変化とは
コーヒーをわかすのにアルコールランプの炎を利用することがあるが,その炎はアルコールが燃えている現象である.燃焼は人間が大昔から最もよく知っている化学変化である.また私たちになじみの深い石炭,石油,プロパンガスが燃えて消失するのも,これらが空気中の酸素と化合して二酸化炭素(CO2)と水蒸気(H2O)になったからだということを知っている.また食物の消化とか,日光のもとで植物の葉でデンプンが作られるような生物学的変化も化学変化の主な例にあげられてよいだろう.すなわちある物質が他の物質に変わる本質的な変化である.これに対して物理的変化は物質の状態,形,大きさ,温度,溶解度などの変化である.たとえば液体の水が固体の氷になったり,砂糖が水に溶けるような変化は物理的変化である.すなわち物質の本質が変わらない変化である.
私たちの周囲にはいろいろな物質(化合物)がある.これらは化学変化が自然に,あるいは人工的に起こった結果として存在しているのである.また私たちの身の回り,いや身体の中でも常に化学変化が起こっていると考えてよいだろう.この千変万化の化学変化がなぜ起こるのか? きわめて興味深いところである.
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