Laboratory Practice 〈微生物〉
各種グラム染色法の特徴と使用法
小栗 豊子
1
1亀田総合病院臨床検査部
pp.177-185
発行日 2014年2月1日
Published Date 2014/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543104182
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はじめに
グラム(Gram)染色は,1884年にHans Christian Joachim Gram(デンマークの学者)がドイツのベルリンで最初に考案した染色法とされている.グラム染色では,紫色に染色されるグラム陽性菌と,赤色に染色されるグラム陰性菌を識別するが,この性質は抗菌薬の効き方と密接に関連していることから,感染症患者検体を染色し,起炎菌を推定することによって,初期治療に用いる抗菌薬を選択することができる.
グラム染色は,培養した細菌や真菌の染色にもなくてはならないものであり,グラム染色性と形態からどんな同定法を用いるかが決定される.
上記のように細菌検査に不可欠なグラム染色であるが,本法には種々の改良が加えられてきた.現在では,ハッカー(Hucker)の変法,バルトロマイ(バースロミュー)・ミッター(Bartholomew&Mittwer)の変法(以下,バーミー法),西岡の方法(以下,フェイバー法)が用いられている.
本稿では,まずグラム染色の原理に触れ,次いで,これらの染色法の特徴について述べる.また,グラム染色では鏡検の技術や,その結果の解釈(感染症の有無の推定,菌種や菌属の推定)も重要であることから,これらについても解説する.
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