オピニオン
カルバペネム耐性腸内細菌科(CRE)の世界的増加と細菌検査の重要性
荒川 宜親
1
1名古屋大学大学院医学系研究科分子病原細菌学/耐性菌制御学
pp.750-751
発行日 2013年9月1日
Published Date 2013/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543104023
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MRSA(methicillin-resistant Staphylococcus aureus)やVRE(vancomycin-resistant Enterococcus)などの多剤耐性グラム陽性菌が問題となって久しいが,2000年以降,グラム陰性菌における多剤耐性化が地球規模で進行し,診療現場に深刻な影響を及ぼしはじめている.多剤耐性の緑膿菌やアシネトバクターについては,わが国でもすでに広がってしばしば問題となっているが,海外では特にカルバペネム耐性を獲得した肺炎桿菌や大腸菌の急激な増加が大きな問題となっている.
このような事態に直面した米国CDC(Centers for Disease Control and Prevention)は2013年3月にカルバペネム耐性腸内細菌科(Carbapenem Resistant Enterobacteriaceae,CRE)に関する警告を発し,CNN(Cable News Network)など米国の主要なメディアはその内容を大きく報道した.全米で広がっているCREは主にKPC(Klebsiella pneumoniae carbapenemase)型カルバペネマーゼを産生する肺炎桿菌であり,血流感染症の患者では50%程度が死亡するというデータもあるため,これ以上CREを増やさないために,感染制御の重要性とその具体的な方策がCDCから提示されている.
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