Laboratory Practice 〈病理〉
肺腫瘤に対する迅速細胞診検査
土田 秀
1
1群馬県立がんセンター病理検査課
pp.483-487
発行日 2013年6月1日
Published Date 2013/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543103950
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はじめに
肺癌患者の約2/3は受診時にはすでに手術不能であり,治療は化学療法が中心となる.現在,殺細胞性抗癌剤に加え分子標的治療薬が注目されており,肺癌ではEGFR(epidermal growth factor receptor)遺伝子変異を有するものに対するEGFRチロシンキナーゼ阻害剤や,EML4-ALK(echinoderm microtubule associated protein like 4-anaplastic lymphoma kinase)融合遺伝子を有するものに対するALK阻害剤の有効性が確認されている.分子標的治療薬は治療にあたって対象症例を適切に抽出することが重要となるが,症例の多くは遺伝子検査として使用できる検査材料が生検組織検体や細胞診検体に限られる.
細胞診検査は組織検査と比較すると捺印標本など少量の検体で検査が可能であり,迅速性にも優れているため,迅速細胞診検査を併用して細胞の詳細な評価を行うことで,迅速に採取材料を遺伝子検査などへ活用することが可能と思われる.
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