Laboratory Practice 〈免疫・血清〉
IgA欠損症とその輸血について
嶋田 英子
1
1日本赤十字社血液事業本部中央血液研究所
pp.209-212
発行日 2013年3月1日
Published Date 2013/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543103872
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IgA欠損とは
免疫グロブリンA(immunoglobulin A,IgA)は,二つの重鎖(α鎖)と二つの軽鎖(κ鎖あるいはλ鎖)から構成される分子量約16万の蛋白質である.IgAは体内でIgGに次いで2番目に多く含まれる免疫グロブリンで,健常成人の血液中には約250mg/dlと豊富に含まれ,抗体として感染防御の役割を担っている.IgAは,血液中以外にも,J鎖を介して結合する2量体(分泌型IgA;sIgA)として,気道や腸管などの外分泌液中や,初乳中にも含まれ,粘膜免疫や母子免疫の担い手として機能している.
血液中にIgG,IgM,IgE,IgDなどの他のクラスの免疫グロブリンは正常域であるにもかかわらず,IgAのみが検出されない場合,IgA欠損あるいはクラス特異IgA欠損,選択的IgA欠損,IgA単独欠損と呼ばれている.IgA欠損の成因については,先天性の欠損,後天性の欠損(抗体産生,薬剤投与による)などに分類されるが,不明な点が多く,原因遺伝子などもほとんど明らかでない1,2).
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