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シリーズ「SOPのつくりかた」は,臨床検査室における測定標準作業手順書(standard operating procedure,SOP)作成について具体例を示し,初心者でも要点を理解しやすく解説する.第1回は,総論として測定SOP作成のポイントと活用について述べる.第2回以降は,一般検査,生化学検査,血液検査,免疫血清学検査の代表的な項目をSOP作成の誤り事例を含めて紹介する.
はじめに
臨床検査室のサービスは,今では患者および健診(検診)受診者にとって不可欠な存在であり,各種臨床検査成績を利用する主治医ないし健診(検診)医にとって,ひいては患者・健診(検診)受診者にとって最良のニーズを満たすために利用されなければならない.このサービスは,検査依頼,患者の準備,検査材料の採取,搬送などの検査前工程(pre-examination process)と検査材料の前処置,検査,検査結果の妥当性確認,検査結果の解釈などの検査工程(examination process),結果報告,検体の保存などの検査後工程(post-examination process)に分けられ,各工程は自動化による作業の標準化が進んでいる.しかし,一部の作業においては,担当技師の能力に依存し,それらの多くは検査室内で標準化がなされていない.さらに,分析装置メーカーの機器操作マニュアルや試薬の添付文書,検査手順に関する文献が容易に入手できることもあって,その施設に合った一連の作業内容を文書化したSOPの作成が遅れている傾向がある.
SOPは操作マニュアルと異なり,作業手順だけでなく業務を遂行するうえでの方針や目的が明確に記載されている.特に,測定SOPは,担当技師の作業の画一化を図り,業務を滞りなく順序立てて遂行することにより検査結果の個人差をなくすための文書であり,試薬の調製から精度管理の実施と評価法までの一連の作業内容,さらに,作業の安全性にかかわる注意事項について規定したものである.
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