Laboratory Practice 〈輸血〉
安全な輸血実施のために―日赤血液センターの体制③―血液センターにおける非溶血性輸血副作用検査
福森 泰雄
1
1日本赤十字社近畿ブロック血液センター検査三課
pp.434-437
発行日 2012年5月1日
Published Date 2012/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543103536
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はじめに
血液センターは,輸血用の血液製剤の製造から医療機関への供給を一手に担っている組織である.輸血とは,血液成分の一部あるいは大部分を失った患者,またはその血液細胞などの産生能力を失った患者に対する血液成分の補充療法であり,多くは非自己である他人の血液を体内に注入することである.われわれヒトは高度な免疫機能をもっており,ABO血液型など主な血液型が患者と適合した製剤を輸血したとしても,多くのマイナー抗原の不適合を避けることは困難で,異物注入による免疫系の反応を惹起する可能性は避けられない.これらのことは長年にわたる輸血を通して多くの赤血球抗原などが発見された事実からも理解される.事実,毎年少なくない輸血副作用が医療機関から報告されており,これら輸血副作用を解析し,輸血の副作用を最小限にする努力が血液センターには求められている.しかし,赤血球系以外(白血球系)の抗原や抗体の検査系は最近になってようやく確立してきたところである.これら白血球系の抗体による輸血副作用と,大阪府赤十字血液センターで実施している非溶血性副作用検査の現状について紹介する.
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