増刊号 輸血検査実践マニュアル
各論
輸血副作用
溶血性輸血副作用
小松 文夫
1
1東京医科歯科大学医学部輸血部
pp.255-259
発行日 1997年6月15日
Published Date 1997/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903152
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はじめに
輸血副作用のうち,最も注意すべきものは不適合輸血による溶血性副作用である.患者が抗Aや抗B,あるいはそれ以外の赤血球抗体を有しているとき,これと反応する赤血球(抗原)を輸注されると,体内で抗原抗体反応を起こし,赤血球は溶解する.これを不適合輸血という.不適合輸血は通常2つに分けて考えるのがよい.その1はABO不適合輸血(異型輸血),その2はABO以外の不適合輸血である.このうち,副作用としては前者のほうがはるかに重篤となる.そのため,ABO異型輸血は絶対に起こしてはならない.
本稿では,これら2つのタイプの溶血性副作用について述べ,さらにまれではあるが,ぜひ記憶しておかなければならない遅発性溶血性副作用についても述べる.
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