トピックス
間質性肺炎の血清マーカーとしてのペリオスチン
出原 賢治
1,2
,
太田 昭一郎
2
,
白石 裕士
1
,
有馬 和彦
1
,
鈴木 章一
1
1佐賀大学医学部分子生命科学講座
2佐賀大学医学部臨床検査医学講座
pp.157-159
発行日 2012年2月1日
Published Date 2012/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543103458
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はじめに
特発性間質性肺炎(idiopathic interstitial pneumonia,IIP)は,肺の線維化を特徴とする原因不明の疾患である.IIPの診断は,現在,画像検査,生理検査,病理検査を組み合わせて行われており,診断のための血清マーカーとしては,KL-6,SP-A,SP-Dが用いられている.しかし,これらのマーカーと病型や予後との関連については必ずしも明らかでない.ペリオスチンは,fasciclinファミリーに属する細胞外マトリックス蛋白質であると同時にマトリセルラー蛋白質であり,組織の発生や細胞の増殖や分化に関与している分子である.筆者らは,最近,ペリオスチンがIIPの一型である特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis,IPF)患者の肺組織に強く発現しており,本患者では血清ペリオスチンレベルが上昇していることを明らかにした.これは,ペリオスチンが,間質性肺炎における新規で,かつ有用な診断マーカーとなることを示したものである.本稿では,間質性肺炎におけるペリオスチンの血清マーカーとしての研究・開発の現況を解説したい.
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