文献抄録
睾丸腫瘍の血清マーカーについて
pp.16
発行日 1980年1月20日
Published Date 1980/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413202878
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癌診断の最終的目標は血清学的検査によるべきであり,一部の癌随伴物質は免疫血清学的に見出されている。非精上皮腫性の睾丸腫瘍では,血清中のalphafetoprotein(AFP)やbetahuman chorionic gonadotropin(β-HCG)が治療上の指標として有効であるといわれている。しかし,上昇したAFP,β-HCGと腫瘍の組織型や残存腫瘍の活性度との関連については不明である。この点について著者らの64例の睾丸腫瘍の経験について述べている。
精細胞起源性の64例中22例は以前に治療をうけており,転移のない症例で,血清中のAFP,β-HCGはすべて正常値にあつた。42例は最近になつて除睾術を施行し,転移の証明された例である。この42例中17例に,AFP,またはβ-HCGのいずれかの上昇が認められた。この17例の組織型は,3例がセミノーマで,その他は非セミノーマ性腫瘍であつた。8例のβ-HCGの上昇の組織型では,3例がセミノーマ,2例が胎性癌,3例が混合型の組織であり,6例のAFP上昇例の組織は,2例が胎生癌で4例が混合型であつた。両者の上昇例は3例で1例は胎生癌,2例は奇形癌との混合例であつた。また非セミノーマ性腫瘍で血清指標の上昇者はすべて転移を認めた。セミノーマで研HCG上昇の3例は,除睾術と放射線治療で正常値にもどつた。
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