疾患と検査値の推移
橋本病―変動するその病態
小澤 安則
1
1虎の門小澤クリニック
pp.33-37
発行日 2012年1月1日
Published Date 2012/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543103415
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はじめに
橋本病は慢性甲状腺炎とほぼ同義語として使われ,その名前からもわかるように一般には慢性に経過する病気であり,その動きは緩やかで経時的な変化に乏しいものと捉えられがちである.しかしながら,臨床症状に変化がなく,変動が一見全くないように見える症例であっても細かく観察すると血中遊離サイロキシン(free thyroxine,FT4)値や血中甲状腺刺激ホルモン(thyroid stimulating hormone,TSH)値の経時的な変動,ぶれ(標準偏差)は正常人のそれよりも大きく,また時として甲状腺機能や甲状腺腫が大きく変化する場合がある.これらの揺れや変動をもたらす大きな理由は,橋本病の原因である自己免疫機序の揺れ,変動であり,また他の因子として,橋本病は正常甲状腺よりも環境因子,特にヨードなどによって機能が影響されやすい性質があることが挙げられよう.本稿では誌面の制約上,このなかでも主に自己免疫機序の経時的な変化による臨床像や検査データの変動について解説する.ヨードの影響についてはまたの機会に解説する.
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