特集 失語症患者へのアプローチ
橋本さんのこと
鈴木 和子
1
1東京警察病院リハビリテーション部言語室
pp.545-546
発行日 1982年5月1日
Published Date 1982/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661919550
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橋本さんの手記を読まれると,努力家でかつユーモアあふれる人柄や,回復に向けての奥様との二人三脚ぶりが生き生きと浮かび上がってくると思う.ここでは言語訓練を担当した立場から,私に映った橋本さんの一面を紹介してみたい.
後に,ご本人や会社の人にうかがった話によると,発症当時,橋本さんは建築会社の現場監督という忙しい職にあった.図面の作成,施行主や会社・役所との折衝,そのため現場との頻繁な往復,そして何よりも,多くの職種の100人以上もの人をまとめ上げて,工期までに仕事を仕上げるという責任の重い仕事であった.橋本さんはこの仕事が好きで,自分にむいている仕事だと言い,職場での信頼も厚く,大きな仕事をいくつか手掛けてこられた.家庭においては,お母様,奥様,8歳と4歳のかわいい子供たちの頼もしい大黒柱だった.性格は明るく,橋本さんの周りには笑い声が絶えなかった.
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