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検査の概要
不規則抗体とは,輸血や妊娠で赤血球上の血液型抗原に感作されて産生される抗体である.不規則抗体の検査法は,間接抗グロブリン(Coombs)法や酵素法がある.従来は試験管法で凝集を目視判定していたが,最近はゲルやガラスビーズを充塡したマイクロチューブ(カラム)法やマイクロプレート法の利用が増えている.しかし,これらは必ずしも生体内で起きる副作用反応とは同じではないので,溶血性輸血副作用や新生児溶血性疾患を引き起こす37℃で反応する間接抗グロブリン試験でIgG型免疫抗体を検出するのが望ましい.そこで陽性となれば臨床的意義をもつことになる.
血小板上の血小板特異抗原(human platelet antigen,HPA)の感作で産生される抗体は抗血小板抗体,また,ヒト白血球抗原(human leukocyte antigen,HLA)やヒト好中球抗原(human neutrophil antigen,HNA)に感作されて抗白血球抗体(抗HLA抗体,抗HNA抗体など)が産生される.これらの抗体は,血小板輸血不応症や新生児血小板減少性紫斑病を引き起こすことがある.抗血小板抗体や抗HLA抗体の検出は,わが国では混合受身赤血球凝集法(mixed passive hemagglutination,MPHA)が,欧米ではMIPA(monoclonal antibody-specific immobilization of platelet antigens)法が広く利用されている.
不規則抗体検査をあらかじめ実施することは,手術などで適合血を準備する時間が確保でき,妊婦では新生児溶血性疾患の予知や治療方針の決定に役立つ.頻回に赤血球輸血する患者には不規則抗体検査を週1回程度,血小板輸血する患者には血小板抗体・HLA抗体検査を月1回程度行うことが望まれる.
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