検査データを考える
不規則抗体
押田 眞知子
1
1大阪大学医学部附属病院輸血部
pp.373-378
発行日 2004年4月1日
Published Date 2004/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100613
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不規則抗体とは
ABO血液型の抗A,抗B抗体のように「ランドシュタイナーの法則(Landsteiner's rule)」に従った規則性抗体に対し,抗D抗体や抗E抗体などの「ランドシュタイナーの法則」に当てはまらない抗体が不規則抗体である.不規則抗体は輸血や妊娠により自己が保有しない赤血球抗原に感作されることで産生される「免疫同種抗体」であるが輸血歴や妊娠歴のない患者に産生される「自然抗体」の場合もある.通常,抗体のグロブリンクラスは免疫抗体はIgG型(不完全抗体),自然抗体はIgM型(完全抗体)であることが多く臨床的に問題となるのはIgG型の不規則抗体である.
赤血球輸血の際は輸血前に患者の不規則抗体検査を実施し,患者が不規則抗体を保有している場合は保有する抗体に対応する抗原を持たない赤血球製剤を輸血する1).不規則抗体は輸血に際しては「溶血性輸血副作用(hemolytic transfusion reaction,HTR)」の原因,妊娠に際しては「新生児溶血性疾患(hemolytic disease of the newborn,HDN)の原因となる場合がある.ここでは不規則抗体の検査の進めかたや臨床的意義,陽性時の輸血対応を中心に説明する.
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