病気のはなし
マルファン症候群
賀藤 均
1
1国際成育医療研究センター循環器科
pp.646-652
発行日 2011年9月1日
Published Date 2011/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543103237
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サマリー
マルファン症候群(Marfan syndrome)は骨,心臓,肺,皮膚など多系統に発症する結合組織異常である.約5,000人に1人に発症する常染色体優性だが,約3~4割には家族歴がない.微細線維の主要な構成成分であるフィブリリン蛋白をコードするFBN1遺伝子異常が原因である.発症は新生児期から成人期まで幅広い.成人では改訂されたGhent基準を用いて診断する.小児期は成長過程のため診断は急がずに経過をみなければならない.予後を規定する因子は,上行大動脈瘤/解離である.上行大動脈瘤/解離はバルサルバ洞拡大が前兆になるので,診断後は定期検査が必須となる.生活・運動などの制限が必要となることもある.薬物治療としてはβ遮断薬が従来から行われていたが,最近はアンギオテンシンII型受容体遮断薬のロサルタンが注目されている.バルサルバ洞径が45mm以上は心臓外科に相談する.
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