病気のはなし
タンジール病
伊藤 公美恵
1,3
,
吉田 博
2,3
1東京慈恵会医科大学附属柏病院総合診療部
2東京慈恵会医科大学附属柏病院中央検査部
3東京慈恵会医科大学大学院代謝栄養内科学
pp.338-342
発行日 2011年5月1日
Published Date 2011/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543103130
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サマリー
タンジール病(Tangier disease,TD)は,血清HDLコレステロール(high-density lipoprotein cholesterol,HDL-C)の欠損あるいは著明な低下を引き起こす常染色体劣性遺伝の疾患である.1961年における最初の報告の後,長い間その原因は不明であったが,ようやく1999年に,TDの原因がATP-binding cassette transporter 1(ABCA1)の遺伝子変異によることが解明された.TDは全世界でも60例ほどと極めて稀な疾患であり,わが国での報告も数例のみである.しかし,ABCA1の機能を解明することでHDL代謝機序の全貌を明らかにできる可能性があることと,動脈硬化抑制への新たな治療戦略が期待できることから積極的に研究が進められている.
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