技術講座 生理
卵円孔開存の診断法
神野 雅史
1
1東京都済生会中央病院臨床検査科心機能検査室
pp.155-159
発行日 2011年3月1日
Published Date 2011/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543103073
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新しい知見
卵円孔開存(patent foramen ovale,PFO)はほとんどの場合出生とともに閉鎖するが,なかには器質的な閉鎖をきたさずにそのまま残る例も存在する.卵円孔が開存していると,一次的な右房圧の上昇により右左シャントを起こし,静脈系で形成された血栓が,右左シャントを介して動脈系へと流入することが考えられる.動脈系へ流入した血栓は脳,冠動脈,腎臓といった主要臓器への塞栓を生じ重篤な症状をきたすことがある.この機序により生じた脳梗塞を奇異性脳塞栓症(paradoxical brain embolism)と呼ぶ.この診断のためにはPFOと右左シャントの証明が必要であり,本稿ではPFOの診断法について概説する.
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