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昨日,その道のエキスパートによる骨髄増殖性腫瘍の講演を聴く機会がありました.大変興味深い内容で,日常診療でも必要とされる新しい情報が多々ありました.そのときに感じましたことは,やはり,専門家による同じテーマに関する講演を,もし5年前に聴いていたら,おそらく昨日の内容の大部分はなかったであろうということです.骨髄増殖性腫瘍(慢性骨髄増殖性疾患)は,その発症にかかわるJAK2遺伝子変異が2005年に明らかにされたことが,特に大きかったと思いますが(なお,あとがきで勉強される方は少ないとは思いますが,ご興味のある方は本誌の36巻8号770ページ~と38巻1号30ページ~をご確認ください),すべての専門分野にわたって,同様のことは数多くあると思います.本当に,基礎医学,そして臨床医学とそれを支える臨床検査の進歩の早さは凄まじいと実感いたしました.日々の勉強を怠ると,学問の進歩にすぐに取り残されてしまうと痛感いたしました.
改訂の間隔・タイミングにもよりますが,どんなに良い教科書,単行本でも,わずか数年前に明らかになった新しい知見を盛り込むことは難しいのが現状です.しかし,最新の知見ではあるが,実際に日常検査業務に携わっている者が理解しておかなくてはいけないことが確実にあります.そこに,本誌のような,毎月発行される雑誌の重要な意義があると考えられます.現在ではインターネットという大変素晴らしいツールがありますが,これから得られる情報は信頼できない場合もあり,これを鵜呑みにすると,場合によっては大変危険であることは,皆様もご存じのとおりです.本誌の編集に携わる一人として,信頼できる最新知見をお届けするという重要な使命を忘れずに努力していきたいと思いますので,今後ともよろしくお願い申し上げます.
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