- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
ついこの間,2010年の到来と感じておりましたが,もう新しい年度のことを考えなくてはいけない時期になりました.「一月は行く,二月は逃げる,三月は去る」と言いますが,これを実感しております.時間が過ぎるのが早いだけでなく,世の中激動を感じさせる出来事が続くことで,ますます追われるような感覚に拍車がかかるのでしょう.最近では,トヨタ自動車の米議会公聴会での説明・謝罪関連のニュースが連日報道されていますが,1年前にこの事態を予想された方はいらっしゃるでしょうか.つい,ニュースに釘付けになる時間が増えますが,現在はそれに加えカナダのバンクーバーで冬季オリンピックの熱戦が繰り広げられており,ますますもって寝不足になりがちです.
さて,臨床検査の世界に目を移しますと最近の最も大きなニュースは,やはり次年度の診療報酬改定に関するものでしょうか.検体検査管理加算IVの新設,外来迅速検体検査管理加算の増点など,充実した検査体制が実際の点数として評価されていることは大変嬉しく感じます.これを一つの追い風として,臨床検査に携わるもの自身も,より検査を高める努力を続けなくてはいけないと再確認しております.本書がそのためのツールの一つになることを願っております.今月号の“病気のはなし”は“新型インフルエンザ(A/H1N1)”です.先程,世の中激動と書かせていただきましたが,この新型インフルエンザこそが,まさにこの1年,医療現場を激動化させた主役でした.今,振り返って,WHOが新型インフルエンザでパンデミック宣言した頃の医療現場の大混乱は何だったのかと思いますが,予想される第2波に備えて,この落ち着いた時期にしっかりと勉強しなくてはと思いますし,本号の“病気のはなし”は,そのための格好のツールです.以下,詳細は略させていただきますが,ホルモン測定,遺伝子検査,胸部画像診断とバランスよく検査全体を網羅している“技術講座”,劇症肝炎を扱った“疾患と検査値の推移”をはじめとして,第一線の先生方のご執筆により,いつも同様,大変充実した内容になっています.今年度の総括,きたる次年度に向けての準備などでお忙しいことと思いますが,是非ご熟読下さい.
Copyright © 2010, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.