技術講座 免疫血清
キャピラリー電気泳動と検査への応用
山本 佐知雄
1
,
鈴木 茂生
1
1近畿大学大学院薬学研究科薬品分析学研究室
pp.1138-1145
発行日 2010年11月1日
Published Date 2010/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102979
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新しい知見
臨床分析や医薬品分析などの分離分析法としては,従来液体クロマトグラフィ(liquid chromatography,LC)やガスクロマトグラフィが用いられてきた.しかし,キャピラリー電気泳動(capillary electrophoresis,CE)がヒト遺伝子解析に大きく貢献したことや,近年のバイオ製剤,特に糖蛋白質性製剤の品質管理では欠くことができないうえ,ネスプ(R)などのエリスロポエチン製剤がオリンピックのドーピング検査の対象となったことから,次第にCEの重要性が認知されるようになった.CEとクロマトグラフィはいずれも試料成分の出現時間とピーク面積から同定と定量を行うことから非常に類似した分析法と捉えられがちであるが,データの信頼性を高めるためにはプレコンディショニングやピーク形状と泳動液成分の関係など,CEの個性に基づく考え方が必要である.さらに最近ではキャピラリー電気泳動/質量分析(capillary electrophoresis/mass spectrometry,CE/MS)がバイオマーカーの探索に利用されるようになり,CEを応用したマイクロチップCEを使った分析法が,臨床診断に利用されようとしている.患者が自らの健康状態を管理するオンサイト分析への応用は,今後ますます加速することが予想される.
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