疾患と検査値の推移
癌化学療法中のB型肝炎ウイルスキャリアにおけるウイルス再活性化
楠本 茂
1
,
田中 靖人
2
1名古屋市立大学大学院医学研究科腫瘍・免疫内科学
2名古屋市立大学大学院医学研究科・病態医科学(ウイルス学)
pp.1147-1152
発行日 2010年11月1日
Published Date 2010/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102981
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はじめに
B型肝炎ウイルス(hepatitis B virus,HBV)の再活性化は,癌化学療法・免疫抑制療法を行う患者において注意すべき問題であり,一部の症例においては劇症肝炎に至り,致死的な経過をたどることが報告されている.従来,hepatitis B surface antigen(HBs抗原)陽性例において多数報告されてきたが,最近,リツキシマブをはじめとする新規分子標的治療薬の導入によってHBs抗原陰性例からの再活性化が報告されるようになり,リスク分類を見直す必要性が出てきている.
本稿では,癌化学療法中のHBV再活性化リスク分類および再活性化対策のポイントを概説し,その際に測定しておくべき重要な検査項目を提示する.
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