増刊号 免疫反応と臨床検査2010
V 生化学
C 心疾患マーカー
1 心筋型脂肪酸結合蛋白(H-FABP)/2 心筋トロポニン(cTn)/3 脳性ナトリウム利尿ホルモン(BNP),脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体Nフラグメント(NT-proBNP)
髙橋 伯夫
1
1関西医科大学臨床検査医学講座
pp.910-915
発行日 2010年9月15日
Published Date 2010/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102921
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高齢化社会の到来とともに虚血性心疾患が増加しており,その診断精度の向上が重要な課題になってきている.従来から心疾患のマーカーとして,AST(aspartate amino transferase),LDH(lactate dehydrogenase),赤沈,CRP(C-reactive protein)などが知られているが,感度の点で意味が薄れている.淘汰が進んだなかで,意味ある検査として残っているのはミオグロビン,ミオシン軽鎖-1,クレアチンキナーゼ(creatine kinase,CK)とCK-MBであるが,それでもこれらは補助診断として使われる程度の評価である.最も評価が高い特異的心筋マーカーはトロポニン(IとT)である.加えて,心筋細胞質に存在し,病変早期に血中に逸脱する心筋型脂肪酸結合蛋白(heart-type fatty acid-binding protein,H-FABP)は病早期の診断マーカーとして有用である.
他方,心機能や循環動態をモニターする優れた指標として評価が高まっているのが脳性ナトリウム利尿ホルモン(brain natriuretic peptide,BNP)と同時にプロBNPから等モル切り出される脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体Nフラグメント(NT-proBNP)である.これらは主に心室から分泌されるホルモン様ペプチドで,心臓の前後負荷を軽減するように作用を発揮するが,裏返せばその増減は優れた心機能の指標である.
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