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先日,妻と,ミュージカル「ジェーン・エア」(松たか子主演)を観に行きました.ご存知シャーロット・ブロンテ原作の,英国が誇る世界の名作で,「お金も,美貌も,身分もない,ひとりぼっちの女性が,ひたむきに前向きに生きることにより幸福をつかむ」というシンデレラストーリーです.私は,原作と異なる展開に多少シラケてしまいましたが,妻や女性の観客の方々は感動に包まれていました.時代を超え,国を越えて名作として読み継がれ,そして多数の映画や舞台となり,そこにまた新たな感動が生まれて発展し続けるのは,やはり作者が訴える普遍的な何かに今日の私たちも共感するためでしょう.ところで,この名作が,フェミニズムの最初の文学であることをご存知でしょうか.この点から今日のわが国をみると,女性が虐げられていた170年前の英国や江戸時代とは異なり,女性の社会進出には目覚ましいものがあります.医療機関,なかでも検査科は看護部と同様に,多くの女性が指導的立場にたたれていることがわかります.
さて,4月号の充実した内容をお届けいたしますが,ここでは第一線で御活躍の女性の先生方のご執筆を紹介いたします.“胸部画像診断(胸部単純X線撮影)②”(西本優子氏),“抗酸菌染色のピットフォール”(赤松美佐保氏)は,双方とも古くからある検査法ですが,優れた検査法として,文学史上の名作と同様に廃れることなく,むしろ技術の進歩に伴って,新しい技法・活力を加えながら発展していることがわかります.“糖尿病と生理機能検査”(三浦純子氏)は,増加しつつある重篤な糖尿病に対し,生理検査の日常業務のなかで,新しく検査科でできること,なすべきことは何かと問い続けられてこられた先生からの貴重な提言です.
4月に新しく医療人となられた皆様に(男性でも女性でも),エールを送りたいと思います.患者の立場で検査に尽くす,医療の現場で安心して検査・診断をまかせることができるようになる,そして全人的に優れた医療人として第一線で活躍するようになる,そのような医療人を目指していただきたいと思います.「検査と技術」がそのお役にたつよう願っています.そのためには編集子自身も優れた医療人を目指す努力を続けなければ,と再確認しております.
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