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あとがき・次号予告・ラボクイズ正解者
手島 伸一
pp.862
発行日 2012年9月1日
Published Date 2012/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543103666
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世間では,ただいまロンドンオリンピックの真っ只中です.私も長年関係する社会人チームの柔道選手の応援に一昨日までオリンピック会場にいました.礼節を尊び,技を重んじるわが国の“柔道”と,あくまで勝負にこだわりパワーを重視する世界の“Judo”との狭間で,国民からは当然のように勝つことを期待されている選手諸氏の活躍にエールを送ってきました.
9月号をお届けいたします.“病気のはなし”は“川崎病”を取り上げました.1967年に川崎富作博士の提唱された小児の原因不明の熱性,発疹性疾患で,今日では“Kawasaki disease”は“Judo”と同様に世界に広く認められています.病理学的には系統的血管炎,特に冠動脈が冒されますが,私も数年前に若い男性の川崎病の病理解剖を行いました.原因不明の異状死でしたが,解剖の結果,死因は川崎病の後遺症としての冠動脈瘤の血栓による急性心筋梗塞でした.生前に川崎病の既往がなかったので疑問に思い,最終診断を専門家に仰いだところ,「今から30年前(患者の幼少時期に一致)は川崎病と診断された幼児は怖い感染症として周囲からのけ者にされるので,親により“患者隠し”が行われていたため」,とのことです.図1(774ページ)に改めて注目しますと本疾患のピーク時にはそのような家族や患者の苦痛が大きかったろうと思い起こされます.
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