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あとがき・次号予告
手島 伸一
pp.728
発行日 2014年7月1日
Published Date 2014/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543104344
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あとがき
病理検査で用いられる最も大切な色素であるヘマトキシリンがヘマトキシリン・カンペチアナというマメ科の木の心材から精製されていることをご存じでしょうか.細胞診に携わっておられる諸氏は,ヘマトキシリンの葉が日本臨床細胞学会のロゴマークに使われていることをご存じのことと思われます.それでも,ヘマトキシリンの花を実際にご覧になられたかたはおそらくおられないことでしょう.そのヘマトキシリンの花が現在(4月末),静岡県浜松市のはままつフラワーパークで咲いています.折しも浜名湖花博が開催されており,3,000種もの植物が描く美しい風景のなかで,ヘマトキシリンも小さな黄色の可憐な花をいっぱい咲かせていました.しかし残念ながら,本誌を皆さまがお手にする頃には花は散っていることでしょう.
本号も役に立つ内容が満載ですが,個人的には「技術講座 病理」“改良ガリアス・ブラーク染色法の手技とその意義”に最も興味を覚えました.近年の病理診断学では,免疫組織化学や分子生物学的手法をかかすことができなくなってきています.しかしガリアス・ブラーク(G-B)法は,ヘマトキシリン染色と同様の一般染色です.G-B法によって,ピック球以外のタウ異常蓄積や多系統萎縮症のα-シヌクレイン異常蓄積を選択的に染色することができ,神経変性疾患の病理組織診断に極めて有用とのことです.免疫組織化学などの目覚ましい発展のなかで,G-B法のような一般染色がいまなお病理診断に重要な手法として発展していることに感銘すら覚えます.読者の皆さまにもG-B法やヘマトキシリン染色などの大切さを再認識していただければ,一編集子として幸甚に存じます.
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