臨床医からの質問に答える
アミノ酸測定用検体の取り扱い方
安東 敏彦
1
1味の素株式会社ライフサイエンス研究所
pp.63-65
発行日 2010年1月1日
Published Date 2010/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102727
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はじめに
アミノ酸自動分析計がスタイン(Stein)とムーア(Moore)によって開発されてから50年になる.その間,分析計は格段に進歩したが,イオン交換カラムでアミノ酸を分離しニンヒドリン発色させて定量するという原理は開発当初から変わっておらず,分析時間が長く,分析コストが高いという問題点をいまも抱えている.近年,液体クロマトグラフ質量分析(liquid chromatograph/mass spectrometer,LC/MS)を用いた新しい分析法が開発されており,分析時間の短縮や低コスト化が期待されている1).
臨床検査においてアミノ酸分析が行われるのは先天的アミノ酸代謝疾患や肝硬変の病態をモニタリングする場面に限られており,その頻度は高くないのが現状である.しかしながら,多くの疾患で血中のアミノ酸濃度が変化することはよく知られていることであり2),今後,臨床の場でアミノ酸測定の必要性が高まると考えられる.また,基本栄養素の一つであるアミノ酸を測定することは栄養学的にも重要であるといえる.
血中アミノ酸の測定には血清もしくは血漿が用いられるが,以下で述べるとおりアミノ酸濃度は血球の影響を大きく受けるので,室温で血球とともに長時間放置される血清ではなく血漿のほうがアミノ酸測定用検体としては適している.したがって,本稿においては血漿の取り扱いについて述べることにする.
アミノ酸分析に用いる血液検体の処理は,採血,血漿分離,除蛋白の三つのステップからなる.以下,各ステップにおける検体の取り扱いについてその留意点を述べる.
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