COLUMN―形態検査において知っておきたいこと
コンタミネーション
伊藤 仁
1
1東海大学医学部付属病院病理検査技術科
pp.1166
発行日 2009年9月15日
Published Date 2009/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102644
- 販売していません
- 文献概要
細胞診標本作製過程中に発生する他検体からの細胞のコンタミネーション(混入)は,検査や診断の正確性が失われ,重大な誤診につながる可能性がある.実際,別患者の検体の一部が混入し,陽性と診断されたため,肺が切除された事例がある.細胞診標本において,ほかから混入した細胞は焦点が異なるため通常鑑別可能であるが(図),原因となった混入元の検体を特定することが肝要である.また,コンタミネーションは,標本の中心付近には起こりにくく,染色かごと標本が接触している標本辺縁部分に起こりやすい.
癌細胞が多量に出現している可能性の高い検体は最後に染色する,染色後は頻繁に可能な限り染色液の濾過をする,など検体相互のコンタミネーションの防止に努めることが肝要である.
Copyright © 2009, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.