増刊号 顕微鏡検査のコツ―臨床に役立つ形態学
V 細胞診
各論
1 婦人科
2 子宮体部
照井 仁美
1
1慶應義塾大学医学部医学部産婦人科
pp.1167-1169
発行日 2009年9月15日
Published Date 2009/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102608
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はじめに
子宮は小骨盤腔の中央に位置する西洋梨型の筋性器官である.内子宮口を境に,上を子宮体部(corpus uteri),下を子宮頸部(cervix uteri)と呼ぶ(図1).子宮内膜はホルモンの影響を受けて周期的に変化する.思春期になり脳下垂体前葉ホルモン―卵巣ホルモンの関与が起こると,卵巣は増大し卵胞が発育する.それに伴い子宮は増大し,内膜が肥厚し月経が始まる.性成熟期から更年期に入ると,卵巣ホルモンの分泌が減り,月経周期も不規則となり,内膜は萎縮しやがて閉経に至る.
近年,子宮体癌は増加の傾向にある.従来は閉経後に発生するのが大半であったが,食生活が欧米化し,成熟婦人の体癌が増えてきている.癌検診の最も重要な目的は,癌を早期発見し早期治療に結びつけることである.体癌を早期発見するためにも子宮内膜細胞診の重要性は高いといえる.
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