増刊号 顕微鏡検査のコツ―臨床に役立つ形態学
V 細胞診
総論
1 基礎知識
1 細胞所見とその表現
古田 則行
1
1癌研究会有明病院付設細胞検査士養成所
pp.1128-1130
発行日 2009年9月15日
Published Date 2009/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102597
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はじめに
細胞診には大別して二つの目的がある.一つは“スクリーニング”と呼ばれているもので,いわゆる“はく離細胞診”である.これは婦人科子宮頸部擦過スメアや,喀痰,尿などが検体となり,細胞診標本の中から,癌細胞や異型細胞を見つけだすことを目的とする.もう一つは“同定”と呼ばれているもので,腫瘍性病変から針穿刺などで細胞を採取し,細胞診標本中の細胞が良性か悪性か,さらに腫瘍名を判定することを目的とする.
細胞診の目的により対象となる細胞は異なるが,細胞診で見つけだす細胞,同定・判定すべき細胞はいずれも“正常ではない細胞”,“異常細胞”である.ここでは“異常細胞”の細胞所見について取り上げる.
異常細胞,すなわち異型細胞,癌細胞の細胞所見は,正常細胞を基準とし,正常細胞との違い,隔たりを“細胞所見”として表現している.また,腫瘍性病変では扁平上皮癌細胞の表現に“ヘビ状”,“オタマジャクシ状”といった細胞診独特の表現もあり,これらについても触れる.
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