皮膚所見をどのように表現するか

　皮膚科学を学び始めた医学生の時に出会ったのが，難しい単語の数々だった．丘疹，膿疱，紅斑，紫斑，粃糠疹．初めはそれらを聞いただけではどんな臨床像かまったく思いつかなかった．単語の多さに苦手意識さえも芽生えてしまうなんて人もいたのではないだろうか？　しかし実際，皮膚科医となって学び始めてから，この難しい単語の数々は先輩の先生方が残した素晴らしい言葉だったということを知った．

　皮膚科において視診をしっかりすること，すなわち皮疹の性状を正しくとらえることは正確な診断への一歩となる．さらに皮疹を正確に表現できれば，性状を他人に伝えることができ，皮膚科への紹介もスムーズになるのだ．ここでは，皮膚所見の書き方，臨床経過の書き方，皮膚科への紹介状の書き方，写真の撮り方について述べる．