巻頭カラー連載 A-LSD!病床からの誘惑・7
表現者VS表現者
甲谷 匡賛
,
久保田 テツ
1
1大阪大学コミュニケーションデザイン・センター
pp.969
発行日 2007年11月1日
Published Date 2007/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661101128
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- 文献概要
甲谷さんと会う時、僕はいつも緊張する。ALSという病床にある人への緊張はもちろん、それ以上に、甲谷さんが表現者として生きているからだ。
僕が甲谷さんの病床を訪れたのは、元々甲谷さんのドキュメンタリーを撮るためだった。ALS患者として、画家として生きる甲谷さんに興味を持ち、彼の日常を記録したいと考えたからだ。ALSに生きる甲谷さんを、映像を通じて鑑賞者に知ってもらおうと。しかし、彼を何度か訪れるうちに、そのアイディアは変化していった。咳にもがきながらパソコンに向かって描く姿を垣間見るうちに、甲谷さんの日々を丁寧に説明するドキュメントではなく、震える線で緻密に描く表現者に、映像作家として対峙したいという欲求に駆られていった。そしてある時に「勝負します」と甲谷さんに宣言した。
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