臨床医からの質問に答える
臨床症状と合わない血清CA19-9高値
二木 亜希子
1
,
山口 ひろ子
1
1東京大学医学部附属病院検査部
pp.450-451
発行日 2008年5月1日
Published Date 2008/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102081
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背景
糖鎖抗原(carbohydrate antigen,CA)19-9はヒト結腸・直腸癌培養株をマウスに免疫して得られた抗体NS19-9と反応する抗原である.その構造は型糖鎖抗原を基本骨格とする血液型抗原Leaの糖鎖の末端にシアル酸が結合したもので,血中ではムチン型糖蛋白として存在している1,2).CA19-9は当初,大腸癌を含む消化器癌の腫瘍マーカーとしての応用が期待されていたが,膵癌,胆囊癌,胆管癌の大部分で著しい高値を示し,大腸癌などより測定値,陽性率も高いことから膵・胆道系の腫瘍マーカーとして応用されている.
CA19-9の偽高値の一つに,胃粘膜保護剤スクラルファートの服用があることが報告されている.これは慢性胃炎・消化性潰瘍の治療を目的とした服用により胃粘膜を保護することで,CA19-9が胃粘膜の毛細血管を介して血中に逆流するため一過性に高値を示すとされている3).
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