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あとがき
菅野 治重
pp.294
発行日 2008年3月1日
Published Date 2008/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102036
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今年は東京も厳しい寒さの冬となりました.インフルエンザも昨年に比べて少なく,このまま流行が終息してくれれば幸いです.また,流行を繰り返しているノロウイルス胃腸炎も昨年より少ないようです.ノロウイルスは牡蠣が原因とされてきましたが,現在流行しているG/4株は牡蠣からの分離は少なく,主にヒト→ヒト感染によって流行していると考えられます.ノロウイルスは人間以外の動物には感染せず,培養細胞でも増殖しません.このため現在は培養も感染モデルも不可能なため診断は遺伝子検査が中心でした.しかし,臨床の現場ではもっと迅速で簡便なノロウイルスの検出法が渇望されています.本号の“技術講座”ではノロウイルスの免疫学的検査法を解説していただきました.ノロウイルスが疑われる患者さんの取り扱いでは多くの医療機関が苦慮していると思います.嘔吐が強いので一見重症にみえますが,ほとんどは発症から2~3日で嘔吐や下痢などの症状は消失します.吐物を誤嚥して肺炎を併発した例などを除いて重篤になることは極めて稀です.このため患者さんに十分病気の説明を行い,できるだけ入院させず,外来で補液などの処置を行って帰宅させることが病院感染対策上重要です.
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