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はじめに
メタボリックシンドローム健診について厚生労働省健康局の「標準的な健診・保健指導プログラム(確定版)」では健診項目の基準値などの標準化について「現行の健診では,健診の実施機関ごとに検査法,検査機器や試薬等の違いにより基準値,検査測定値や健診判定値が異なっているが,今後の新たな健診では,実施された被保険者の健診結果のデータを一元的に管理し,共通の健診判定値の設定や健診検査項目毎の検査測定値の標準化が必要である」と提言している.また,健診の血液検査10項目については,独立行政法人産業技術総合研究所などの協力を得て,可能な限り2008年度までに標準物質の開発を行い,検査測定値の標準化を行うことができるようにする1)としている.これは正確さを基盤にした測定体系とそこから得られた検査データの健診判定値の標準化であり,まさに臨床検査データの共有化とも言える.
ここではメタボリックシンドローム健診の目的に合った,「臨床化学検査を中心とした精度管理」の概要を内部精度管理法(internal quality control,IQC)と外部精度評価(external quality assessment,EQA)の二つを軸に述べる.従来の統計学的な内部精度管理法や外部精度管理調査には,今後検査データの標準化を視野に入れた思考が求められている.したがって,内部精度管理法では精密さの管理とともに,正確さの管理とその許容誤差限界,そして不確かさの大きさが求められる.また,外部精度管理調査に参加するだけではなく,施設の外部精度評価や技能試験(proficiency testing,PT),ISO15189の試験所認定が求められるようになった.
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