Laboratory Practice 〈輸血●ヒト由来抗血清からモノクローナル抗体に・1〉
血液型とモノクローナル抗体―歴史的背景と基礎
古杉 光明
1
1オーソ・クリニカルダイアグノスティックス株式会社テク
ニカルサービスセンターImmunohematology
pp.954-960
発行日 2007年10月1日
Published Date 2007/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101853
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はじめに
1975年にKohlerとMilsteinがヒツジ赤血球で免疫したマウス脾細胞とマウスミエローマ細胞とを融合して得たヘテロハイブリドーマ細胞が,抗ヒツジ血球凝集素を産生・分泌しながら増殖することを報告1)して以来,この細胞融合の手法を応用したモノクローナル抗体の作製が行われ,さまざまな研究分野や臨床検査・治療の分野においてモノクローナル抗体が用いられるようになった.輸血検査の分野においては,1980年代初めには既に数種類の血液型判定用モノクローナル抗体が作製されており,1984年に抗Lea・抗Leb・抗Hおよび抗Mモノクローナル抗体の国内販売が開始された.ほぼ時期を同じくして,ABO式血液型判定用試薬の製品化への広範な検討が各国で行われ,1985年前後に承認・販売が開始された.国内においても1987年に厚生省(現在の厚生労働省)の「血液型製剤判定用血清基準」の改定がなされ,1988年からモノクローナル抗A(抗B)の販売が開始された.また,1989年には抗Dモノクローナル抗体の製造・輸入が認可され,販売が開始された.現在では複数の赤血球抗原に対するモノクローナル抗体製品が作製・市販され,患者検体におけるABO式およびRh式血液型検査のほとんどがモノクローナル抗体によって行われるようになっている.本稿では現在までの概要について簡単に触れておく.
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