特集 知っておくべき!モノクロな薬たち(注:モノクローナル抗体の話ですよ〜)
【総論】
モノクローナル抗体の歴史と作製方法
和氣 秀徳
1
1近畿大学医学部薬理学教室
キーワード:
抗体医薬品開発
,
抗体医薬品製造技術
,
抗体医薬品売上高
Keyword:
抗体医薬品開発
,
抗体医薬品製造技術
,
抗体医薬品売上高
pp.644-649
発行日 2023年6月15日
Published Date 2023/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429204314
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抗体医薬品開発の歴史
抗体は動物が抗原に曝露されることで産生される蛋白質であり、その抗原に対して特異的に結合する性質を有している(図1)。この産生された抗体は、抗原のさまざまな部位(エピトープ)を認識する抗体の混合物であり、“ポリクローナル抗体”と呼ばれる。医薬品の品質管理の観点から、製品の安定性や均質性が求められるが、さまざまなエピトープを認識する抗体の混合物であるポリクローナル抗体は上記の条件を十分に満たすことができず、医薬品として用いるには問題が多かった。
しかしながら、1975年にG. KöhlerとC. Milsteinにより、同一のアミノ酸配列を持つ抗体を取得できるモノクローナル抗体作成技術が示されて以降、比較的均質な抗体を産生できるようになり、抗体医薬品開発の道が開かれることとなった1)。この技術は、1963年にY. Okadaらによって発見された細胞融合技術を利用して、抗原を免疫したマウスの脾臓より分離した抗体産生細胞とミエローマ細胞を融合し、抗体産生細胞を不死化した後、1つの細胞に単離し、その細胞1個から細胞を増やすことで、単一の抗体をほぼ無限に増やすことのできる手法である。この技術により、医薬品に求められる品質の安定性を保ち、大量生産を行うことが可能となった。
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