検査じょうほう室 緊急:現場から学ぶ対処法
災害医療と臨床検査―災害は忘れる前にやってくる
竹下 仁
1
1大阪府三島救命救急センター検査科
pp.1394-1395
発行日 2003年12月1日
Published Date 2003/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101653
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はじめに
みなさんは交通事故の患者さんの治療に立ち会ったことがありますか? 血まみれで手足がボキボキの状態を想像する人も多いのではないでしょうか.実際,交通事故などの外傷では脳,肺,心臓,肝臓,腎臓,腸管などの臓器,血管,骨,全身の皮膚・筋肉など体のあらゆる部位の損傷が考えられます.図1は当センターの災害医療訓練の写真です.搬入されると直ちにモニター装着,バイタルサイン*の確認が行われ,呼吸管理,循環管理などの処置が始まります.エコー,X線,血液検査などの検査も同時進行で,処置室は医師・看護師・放射線技師・検査技師・救命士などが慌ただしく動き,指示・確認の大声が飛び交い,まさしくテレビドラマ「ER」です.救命医療は1分ではなく1秒を争う時間との闘いでもあるのです.1人の重症外傷でもこれだけの慌ただしさです.このような患者さんが同時に何人も運び込まれて来る災害医療における迅速かつ正確な検査情報の提供について考えてみましょう.
*バイタルサイン(vital signs)…バイタル(vital)とは,「生命の」「活力ある」という意味で,バイタルサインは生きていることを表す身体徴候の総称.呼吸・脈拍・血圧・体温・意識の5項目の観察で行われる.
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