技術講座 病理
迅速凍結標本作製法
東 恭悟
1
,
浅沼 広子
1
,
佐藤 昌明
1
1札幌医科大学医学部附属病院病理部
pp.1285-1291
発行日 2003年11月1日
Published Date 2003/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101617
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新しい知見
組織を凍結して標本を作製する手法は古くから記録にあるが,安定したよい標本が作製され,術中迅速診断として確立された病理診断技術になったのは,クリオスタットの開発やミクロトームの改良が大きかったと思われる.このように今や,完成した技術の感もある迅速凍結切片作製法ではあるが,昨今の外科技術の進歩や,縮小手術を求める患者意識の変化に伴い,さまざまな困難に遭遇するようになった.施設により多寡はあると思われるが,最近では,VATS(ビデオ支援胸腔鏡下手術)で生検された肺組織における小さな腫瘤の良悪性診断のみならず,野口分類を求められることがある.また,縮小手術された乳腺組織の断端の判定を求められることが多くなってきた.これらの組織は含気があったり,脂肪を大量に含んでいたりして,凍結切片作製の最も困難な組織である.これらの困難を克服しようとする努力がなされ,いくつかの工夫が報告されるようになってきた.
本縞では,迅速凍結標本作製法の基本的技術を中心に述べ,いくつかの新しい工夫を紹介する.
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