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術中迅速病理診断の凍結標本形状を維持したパラフィン永久標本作製法
大森 康旨
1
,
菅井 祝
1
,
西村 知己
1
,
守安 岳征
1
,
奥野 知子
1
,
白瀬 智之
1
,
雑賀 興慶
1,2
1大津赤十字病院病理診断科
2東近江市立能登川病院臨床検査科
pp.1188-1190
発行日 2017年10月1日
Published Date 2017/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543206969
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はじめに
通常,病理組織検査では組織採取から診断までに約3〜4日を要する.一方,術中迅速病理診断(以下,術中診断)は約10〜15分で行うことができ,手術中における重要な役割を担っている.
術中診断後の凍結標本は,解凍後ホルマリン固定され,パラフィン包埋ブロック標本となる.ここから作製されたいわゆる“戻し”永久標本〔HE(hematoxylin eosin)染色〕と術中凍結標本(HE染色)を比較し,診断の再確認を行う.しかし,凍結標本の薄切面を維持しながら永久標本を作製することは,かなり困難な作業であり,凍結標本と永久標本の一方でしか癌組織が確認できないことも時に経験する.
本稿では,市販の凍結組織用包埋剤(以下,包埋剤)にアルギン酸ナトリウム(以下,アルギン酸Na)を加えることで,凍結標本の形状を維持したまま,永久標本の作製が可能となる方法を考案したので標本作製時の参考にしていただきたい.
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