マスターしよう検査技術
迅速診断用凍結切片の作製法
西見 博之
1
1足利赤十字病院臨床検査部
pp.359-364
発行日 1991年4月1日
Published Date 1991/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543900577
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はじめに
病理検査で,凍結切片による迅速診断は術式の決定などに重要な役割を占めている.当院においても悪性腫瘍のリンパ節への転移の有無,組織型の決定など,診断,確認のため週に平均10件の依頼があり,かなりの数を実施している.
迅速診断の歴史も,炭酸ガスで凍結させ,ザルトリウス型ミクロトームで薄切した時代から,クリオスタットの使用へと変遷した.しかし,ザルトリウス型ミクロトームでは,切片が厚く(10μm以上)なってしまい,良好な標本作製に苦慮した.またクリオスタット庫内での凍結では,脂肪組織や脂肪の多く含まれた組織など,凍結までの時間がかかりすぎる欠点がある.これらのことを考え,組織凍結時間をいかに短縮するかが問題となり,液体窒素の使用を開始した.標本作製から病理医による報告までに30分以上も費やしていたが,液体窒素の使用により,検体受け付けから10分で報告可能になった.
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